恋愛小説文庫 花模様

短編集 目次
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           (コラージュ VIVISTAR CANVAS)期間限定の婚約者は、申し分のない男だった勝手に消えた彼を忘れて、新しい恋をしてみようか……【プラチナの景色】 前編  後編(2007.11.14)  「プラチナの景色」につづく物語【波の彼方へ】 (2007.12.4)彼と彼女の出会いは偶然だったのか、それとも必然だったのか……美術評論家と若い画家の、琥珀色の恋【琥珀色の時間】スイーツへの思いを語る彼は饒舌なのに、彼女...
【Hideout】 ― 葉巻を好む男 ―
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【Hideout】 ― 葉巻を好む男 ―

カウンターの男が手にしているのはキューバ産の葉巻だった。葉巻の魅力に取り付かれた男の叔父が、いい葉巻があるという不確かな情報だけでキューバに飛んで百本ほどの葉巻を手に入れた。しかし、叔父はその後肺を患い、医者に止められ泣く泣く手放した。他人にやるのは惜しいと、叔父の事務所とともに無理やり押し付けられたが、吸ってみると香りに魅了され、すっかり葉巻党になった。もらい物だからと、極上の葉巻に惜しげもなく...
【Misty】
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【Misty】

店の帰りに この場所に寄るのが習慣になっていた古ぼけた電話ボックスは 中に入ると外界から切り離されたような安堵感がある車を路肩に止め 本部に定時の連絡をいれた「今回は接触だけでいい 絶対に無茶をしないように相手の身体的特徴 クセ 声の抑揚 なんでもいい 観察するだけにとどめて欲しい追い詰めるようなことは決してしないように いいね それから君のいる近くで 政府高官の自宅が爆破された 気をつけるように...
 【Momentary】
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【Momentary】

煙幕に身を隠しその場を立ち去るつもりだった偶然に居合わせた事件現場 誰かに見つかるのではないかと不安を感じながら 立ち上る煙と爆薬の臭いがもたらす誘惑に勝てずにいた これ以上の長居は我が身を危険にさらす人ごみに身を置き 足を進める方角を模索していた  「こっちよ 振り向かないで 私の背中だけ見てついて来て」 「驚いた……アンタから接触するなんて初めてじゃないか? 相変わらず忙しそうだな」 「呑気なこと言...
【彼と私のバラ色の毎日】 前編
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【彼と私のバラ色の毎日】 前編

早めに仕事に区切りをつけ、書きかけの文章を保存する。いつもなら夕方5時になると、秘書が ”おつかれさまでした” と、そそくさと帰って行くのだが今日は違っていた。ドアを出る前に、玄関まで送ってきた私の顔を見ながらニヤリと笑うのだ。このクセさえなければ、彼女は最高の秘書なのにといつも思う。「今日ですね この前お帰りになられたのはいつでしたか? 大変なお仕事ですね」 「そうね この前会ったのはいつだったか...
【彼と私のバラ色の毎日】 後編
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【彼と私のバラ色の毎日】 後編

【彼と私のバラ色の毎日】 後編「今夜はブイヤベースですね 部屋中いい香りだ」「えぇ そうよ そろそろ食べたい頃でしょう?」「さすがだな 言わなくてもちゃんとわかってるなんて」「あたりまえでしょう」これから二日間、ジュンは私だけのもの。外の世界で、どんな顔をし、どんな話をし、どんな人と付き合いがあるのか、私には関係のないこと。私の前で嬉しそうに食事をし、私の横で穏やかな寝息をたててくれたら、それで満...
【春の息吹にも似て】 
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【春の息吹にも似て】 

遠い記憶を たどるとき真っ先に浮かぶのは 貴女のことたおやかで 気高く凛としたその姿は 僕の心を一瞬にして捉えたそれはまだ 本当の愛を知る前のこと今の僕なら 心を繋ぎとめておけたのだろうか今の僕なら 引き止めることができたのだろうか貴女に出会ったのは 桜の蕾が膨らみ始めた 春浅き頃 斉園寺家で催された夜会だった煌びやかに着飾った若い男女の声が そこここでさざめく 留学の名目で 3年間の欧州の気まま...
もうひとつの・・・【彼と私のバラ色の毎日】 1
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もうひとつの・・・【彼と私のバラ色の毎日】 1

                                               サークルの、創作投稿者のみなさんと参加した 「彼の妻だったら・・・」 の設定で書く短編。楽しい企画でした^...
もうひとつの・・・【彼と私のバラ色の毎日】 2
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もうひとつの・・・【彼と私のバラ色の毎日】 2

お疲れ様でしたと 運転手兼サブマネージャーの彼女が帰っていく「同じマンションに住んでるんですか 徹底的に管理してるんですね」ジュンの住まいと私の住まいを知った時 彼女はこう言って驚いたものだ当たり前でしょう 夫婦なんだもの 同じところに住んで当然よでも 部屋は別 私の上の階にジュンの住まいはあるのエレベーターの中でも 彼と私は 俳優と事務所の人間の顔 セキュリティーが完璧なこのマンションは どこも...
もうひとつの・・・【彼と私のバラ色の毎日】 3
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もうひとつの・・・【彼と私のバラ色の毎日】 3

                                                彼を初めて食事に呼んだとき 他のスタッフも一緒だった一人で飲んでも美味しくないから持ってきました と...
もうひとつの・・・【彼と私のバラ色の毎日】 4
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もうひとつの・・・【彼と私のバラ色の毎日】 4

                                                 部屋の模様替えでも始めたのだろうか 上の部屋からゴトゴトと鈍い音が響いていたおじさんったら 何...
もうひとつの・・・【彼と私のバラ色の毎日】 5
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もうひとつの・・・【彼と私のバラ色の毎日】 5

昨日の記憶……バラの花束をもらってジュンにプロポーズされながら 彼に文句を言ってこんなことになった理由を聞いて感極まった私を 彼が抱きしめてくれたそのあと そのあと……そうだ二人で婚約式をしたのよ!えっ? じゃぁ 私 彼のプロポーズを受けたってこと?なんて返事をしたんだろう……記憶を手繰り 順をおって頭の中で再現していくうちに 赤面するような甘い光景を思い出した結婚なんて絶対出来ないと言い張る私を ジュ...