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❀ 結婚白書 目次
結婚へつながる四つの恋の物語『違反切符』 (結婚白書 Ⅰ)『恋する理由』 (結婚白書 Ⅱ)『手のひらの幸せ』(続・結婚白書 Ⅱ)『風花』 (結婚白書 Ⅲ) 旧題「ゆうすげの道」『風のプリズム』 (結婚白書 Ⅳ)『登場人物紹介』...
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違反切符 結婚白書Ⅰ 目次
コラージュ VIVISTAR CANVAS取り留めのない会話が途切れた頃 扶美子おばさんが 見合いでお決まりの台詞を言う 「あとは若い人同士でお話をしてね 年寄りは引っ込むわ」 そして 俺と彼女は取り残された…… 桐原高志 30歳 運命の日は突然やってきた 1 ― お袋の陰謀 ―2 ― 見合い開始 ―3 ― 彼女の過去 ―4 ― 高志の決断 ―5 ― 幸せの予感 ― 前編 後編 ― 大切な...

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【違反切符】 1 ― お袋の陰謀 ―
電話のたびにお袋の小言を聞かされる「アンタ いい加減に彼女を連れてきなさいよ」「そんなのいないよ……」「本当にいないの? 情けない男ね じゃあ見合いでもしなさい!いい?」なんでそうなるんだよ彼女がいなくて悪いか遊ぶ友達はいるし 会社に女の子だっている結婚して家族のために働いて 自分の時間はなくなって 金だって自由にならないそんなの 当分願い下げ心の中で お袋に悪態をつく「それで 今度はいつ帰ってくる...

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【違反切符】 2 ― 見合い開始 ―
おばさんたちが去ると二人きりさて どうしたものか時計を見ると 3時を少し回ったところだった「これからどうしましょうか 僕は こっちには年に1・2回しか帰ってこないんで 気の利いた場所を知らなくて」実際その通りだ帰省しても家にいるか 友達に会うかで休暇は終わる休暇は3日もあれば充分だ本当にどこも思いつかない彼女に聞くしかなかった「そうですね 水族館が出来たのを知ってます? 3月にオープンしたばかりで...

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【違反切符】 3 ― 彼女の過去 ―
布団の中で うだうだして過ごす目は覚めてるが 起きて下に行くと お袋の説教を聞かされそうだ彼女との待ち合わせは3時 出かけるギリギリの時間に下りた「アンタ ちゃんと考えてるんでしょうね」ほーら始まった これだから起きるのがイヤだったんだお袋の言葉に答えず テーブルの上にあるパンを口に放り込む「高志 ねぇ 何とか言いなさい! 相手があることなのよ アンタがハッキリしないと 先方さんにも申し訳ないでし...

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【違反切符】 4 ― 高志の決断 ―
その日は 珍しく親父の方から話しかけてきた「おまえ 相手のお嬢さんを気に入ってるのか?」親父もお袋から散々言われたらしく やむなく俺に聞いたようだ「気に入ったのかと言われれば そうだけど・・・だから、今すぐに結婚ってのもなーまだ お互いに知らないことも多いよ」これが本心俺たちはまだ出会ったばっかりだ曖昧な気持ちで結婚なんかしたら相手にも失礼だよ結論を出したくなくて あれこれ考えをめぐらすなんでそん...

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【違反切符】 5 ― 幸せの予感 ― 前編
帰り着いたのは 彼女と別れて2時間近く経ってからだった家に入ると お袋の1オクターブ高い声が待っていた「高ちゃん 遅かったじゃないの 心配してたのよ」言い訳を考える間もなく 次の言葉が襲ってきた「ついに決めたのね お母さん 嬉しくて嬉しくて さっき杉村さんのおば様からお電話を頂いて もうビックリよ」いつもなら うざったい騒音にしか聞こえないお袋の声が今日はそれほどイヤじゃないし...

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【違反切符】 5 ― 幸せの予感 ― 後編
背広で来たのは正解だった彼女のお父さんをはじめ お母さん おばさん それに結婚して近くに住んでいる お姉さん夫婦まで勢ぞろい和室に通されて お袋に言われたとおり 手をついて挨拶をした「ご挨拶が遅くなりました 初めまして 桐原高志です」後のコトは良く覚えていないただ……「和音さんと 今後は結婚を前提に お付き合いさせていただきたいのですが・・・」「こちらもよろしくお願いします さ...

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【違反切符】 ― 大切な人 ― 前編
空港で一番好きな場所は 到着ロビー誰かを迎える嬉しさ 喜びを感じる場所だから空港で一番嫌いな場所は 出発ロビー誰かを送る寂しさ つらさを味わう場所だからここに 彼を迎えに何度来ただろう飛行機の到着時間に遅れないよ...

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【違反切符】 ― 大切な人 ― 後編
結納をかわすなんて古風で甘美な言葉だろう私達は 3ヶ月後に結婚する去年の春 思いがけず見合いをした結婚なんて考えてもいなかったのに いきなり会わされて断る理由がなくて 毎日彼と会った友人達は 5日間で結婚を決めてしまった私を ”信じられない” と口々に言う以前の私なら 同じことを言っただろうでも こんな出会いもあるのだと 今なら言える振り袖は 着付けができる姉が着せてくれた「こ...

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恋する理由 結婚白書Ⅱ 目次
コラージュ kuraminn「面白いヤツが入社してきたぞ」人事課長が履歴書を見せてくれた私から見ればなんてことない 無愛想な顔じゃないの新人君の名前は 『工藤 要』 実にふてぶてしい 新人だった恋愛休暇中の円華の前に現れたのは 年下の彼...1 ― 出会いは突然に ―2 ― それは思いがけず始まった ―3 ― 怪我がもたらしたものは…… ―4 ― キスの余韻に戸惑っ...

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【恋する理由】 1 ― 出会いは突然に ―
テーブルの上の招待状を手に取り あらためて見た淡いピンクのレース模様が印刷され いかにも彼女らしい色づかい『広川 円華 様』彼女の見慣れた字が懐かしく思えた今日は和音ちゃんの結婚式だったウェディングドレスは 優しげな彼女の肩からドレープが長く伸び 柔らかい曲線を作っていた素敵な新郎は 彼女の足下に気を配りながらゆっくり 大事そうに彼女をエスコートして入場してきた あぁ 彼女はこんなに大事にされてる...