恋愛小説文庫 花模様

社宅ラプソディ
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社宅ラプソディ

 主人公 佐東明日香は新婚半年で夫が転勤になり、地方都市に移り住むことに。  ã€Œæ¢…ケ谷社宅」で出会う人々との付き合いは、刺激的で、ときに面倒なこともあるけれど、  戸惑ったり、憤慨したり、笑ったりの毎日。  明日香と一緒に社宅暮らしを体験してみませんか。 【社宅ラプソディ】 ・・・  【社宅ラプソディ 2nd season 】 ・・・ 連載中 (2020.5.25 連載開始) ブログ限定番外編 【マダムエチュード...
【社宅ラプソディ】 1-1.社宅はどこ?
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【社宅ラプソディ】 1-1.社宅はどこ?

郊外へ続く国道の脇には優しい色の草花が咲き、その奥には一面に菜の花畑が広がっている。春色の景色は新生活への不安を鎮め、期待を押し上げる手助けをしてくれる。佐東明日香はのどかな風景を見ながら、不安な気持ちをひとまず押し込めて無邪気な声をあげた。「菜の花、きれい、黄色がまぶしいー。都会の近くに自然がいっぱいあるんだね。社宅の周辺もこんな感じ?」「夏は、蚊とか虫がすごいって聞いた」「えっ、社宅があるとこ...
【社宅ラプソディ】 1-2.社宅はどこ?
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【社宅ラプソディ】 1-2.社宅はどこ?

妻の本音を覗き見た気がして亜久里は気落ちしたが、それよりひとこと言っておかなくてはと顔を引き締めた。「明日香、それ、地元の人の前で言うなよ。丘の向こうは九大のキャンパスだ」 ä»¥å‰ã¯è¡—中にキャンパスがあったが、老朽化が進んだため、郊外の広い敷地に移転した。「キュウダイのキャンパス? あぁ、大学って敷地が広いから、新しいキャンパスは郊外にしか建てられないんだね、きっと。私大ってことは地元の人が通っ...
【社宅ラプソディ】 2-1.はじめまして
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【社宅ラプソディ】 2-1.はじめまして

『株式会社小早川製作所 博多工場 梅ケ谷社宅』 重厚な一枚板に書かれた社宅の名称は、風雨にさらされところどころ文字がかすれている。  ã€€ã“このどこが博多なのか、どうして博多と言えるのか、詐欺じゃないかと明日香は思ったが、名古屋本社もそうだったと思い出した。会社の所在地は隣接した市にあるのに、『名古屋本社』 だった。もっとも、向こうは都会の雰囲気が感じられる街だったが、ここは都会どころか地方の地...
【社宅ラプソディ】 2-2.はじめまして
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【社宅ラプソディ】 2-2.はじめまして

「一号棟は小野棟、棟長は小泉さん、二号棟は早見棟、棟長は早水さん、三号棟は川崎棟、棟長は川森さん、これも覚えやすいでしょう」一号棟、二号棟、三号棟、でいいではないか、なぜ名前を付ける必要があるのだろう、全然覚えられないじゃないと明日香は思ったのに、亜久里はウンウンとうなずいている。「小野は小泉さん、早見は早水さん、川崎は川森さん、同じ字が入っているので確かに覚えやすいですね」いつもながら亜久里の記...
【社宅ラプソディ】 2-3.はじめまして
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【社宅ラプソディ】 2-3.はじめまして

「わぁ……」「うーん……」亜久里も明日香も、それ以上の言葉が出ない。すべて和室、6畳、4畳半が二間と、一応三部屋はあるものの……狭い、狭すぎる、どこにどう家具を置けばよいのだろう、それよりすべての荷物が入るだろうか。ふたりで大きなため息をついた。「はぁ……まずは挨拶回りに行ってこようか」「そうだね。あとで考えよう」それから 『川崎棟』 の各部屋へ、夫婦そろって挨拶に回った。一番先に棟長宅を訪ねると、休日で家...
【社宅ラプソディ】 3-1.棟長はキョウコさん 
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【社宅ラプソディ】 3-1.棟長はキョウコさん 

「はじめまして、川崎棟の棟長を務めております、川森今日子でございます」「佐東です。よろしくお願いします」「さきほどはおいでいただきましたのに、留守にしており失礼いたしました」よどみなく口上を述べた川森今日子は、手本のような丁寧なお辞儀をした。長身の背中が見えて明日香もあわてて頭をさげながら 「佐東明日香でございます。お願いいたします」 と言うべきだった、「あっ、はじめまして」 も言わなかったと気が...
【社宅ラプソディ】 3-2.棟長はキョウコさん 
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【社宅ラプソディ】 3-2.棟長はキョウコさん 

「入居時のご近所へのご挨拶は、できましたら、ご夫婦で行かれることをお勧めします。今後のおつきあいにも響いてまいります。お隣だけでなく、できるだけ多くの方にご挨拶なさってください」さきほどみなさんのお部屋に伺いました、川崎棟以外のお宅にも挨拶に行ったほうがいいですかと亜久里が聞くと、「ご挨拶回りを終えられたのですね。余計なことを申しました。失礼いたしました。居住棟以外へのご挨拶は、行かれる方もいらっ...
【社宅ラプソディ】 3-3.棟長はキョウコさん 
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【社宅ラプソディ】 3-3.棟長はキョウコさん 

 ã€Œã‚°ãƒªã•ã‚“、お疲れさま~」「明日香も、お疲れさま」川森今日子が、『ゴミ分別パンフレット』 を届けるために再びやってきて、「ご挨拶代わりに」 と置いていったビールで乾杯して、オードブルの皿に箸をのばした。オードブルも川森今日子からの差し入れである。「いらっしゃったばかりで買い物も不自由だと思いまして、余計なこととは思いましたがお持ちいたしました」 と添えられた言葉に、亜久里も明日香も恐縮しなが...