恋愛小説文庫 花模様

【マダムエチュード】 ~佐東しのぶ、マダムのお稽古~ メイクレッスン
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【マダムエチュード】 ~佐東しのぶ、マダムのお稽古~ メイクレッスン

 鏡に顔を寄せながら、佐東しのぶはまつ毛の際に用心深くアイラインを引いた。 少しでも手がぶれると筆先がゆがみラインはガタガタになり、油断するとまつ毛とまぶたのあいだに隙間ができる。 『まつ毛とまぶたのあいだに空白ができないように、気をつけながらアイラインを引きましょう。 利き手でアイライナーを持って肘を固定して、反対の手で緩んだまぶたを引っ張りなが慎重に描いてね。 私たちのお年頃は、まぶたの皮膚が...
【マダムエチュード】 ~佐東しのぶ、マダムのお稽古~ ナイスボディは永遠に? 前編
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【マダムエチュード】 ~佐東しのぶ、マダムのお稽古~ ナイスボディは永遠に? 前編

「ああ、重い。失敗したわあ」掃除機を抱えて階段をのぼるたびに、佐東しのぶの口から不満がこぼれる。重すぎて持ち運びに苦労するのだと、掃除機を買ってまもなく夫の利志夫にぼやいたことがある。 「二階用に、もう一台買えばいいじゃないか」  夫から優しい返事があった。さらに、夫の口はしのぶを喜ばせる。 「家電は便利に使うためにあるんだ。しのぶが必要と思うなら買いなさい」 理解のある夫であると思ったが、家計を預か...
【マダムエチュード】 ~佐東しのぶ、マダムのお稽古~ ナイスボディは永遠に? 後編
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【マダムエチュード】 ~佐東しのぶ、マダムのお稽古~ ナイスボディは永遠に? 後編

 利志夫とディナーを楽しんだ数日後、加寿子から電話がかかってきた。すぐにテレビをつけてといわれて、指定されたチャンネルに合わせると、下着姿のモデルの姿が映し出された。 『これ、すごくいいのよ。よくある補正下着とは別物よ。ウエスト引き締め効果にヒップアップも、絶対おすすめだから』 加寿子のセールストークはテレビショッピングのリポーターに匹敵する熱弁で、興奮した声がしのぶの耳に響いた。 今日は一枚分...