恋愛小説文庫 花模様

【手のひらの幸せ】  ― 愛すべきは…… ― 3
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【手のひらの幸せ】 ― 愛すべきは…… ― 3

猛暑の今年は妊婦にとっては最悪ねと 涼しい店内に入り安堵したのか ため息とともに円華の口から何度も聞いた台詞が また出てきた大きな腹が辛そうな女房と 手を繋いでゆっくりフロアを歩く家の近くに県外資本の大型店ができ この夏 涼を求めてよく通った通路が広く ところどころに椅子がある店内は 老人や妊婦にとって優しい造りになっていた「遠出はダメよ だけど家にじっとしてちゃ赤ちゃんは生まれないの 歩くのが一...
【手のひらの幸せ】  ― 愛すべきは…… ― 4
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【手のひらの幸せ】 ― 愛すべきは…… ― 4

『 命名  長女 鈴 』親父の伸びやかな字で書かれた命名書が貼られた床の間小さな布団に寝かされた鈴は 今日も元気に泣いていた退院後 しばらく広川の実家にお世話になることになった「要さんも一緒にいらっしゃい ここから出勤すればいいわ」お義母さんの言葉に甘え 俺も円華の実家から出勤している出産後の円華は至って元気で 布団に寝ることもなく普通に生活していた名前は俺が決めた男でも女でも 名前は一文字にしよう...
サンタクロース……いつまで信じていましたか?
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サンタクロース……いつまで信じていましたか?

                   「サンタは換気扇から入ってくるんだよ!」 と言ったのはウチの子です ^^;毎年この時期になると 浮かび上がってくる悩み『こどもに サンタの正体を知らせるか どうか……』我が家には まだサンタの存在を信じている子がいます。(あはは…こんな子がいるんです~歳は…10歳以下です)ブログには子どもの話題は書かないつもりでいたのですが ぼやきたくなって……今日は私の「ぼやき」に...
予防接種をしましたが……
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予防接種をしましたが……

                   注射は痛くなかったけれど そのあとが~~@@今年はインフルエンザの流行が早いそうですね。昨日予防接種をしてきました 今日は腕が腫れてます いたーい (>_<) 「注射で腫れる人は 必ず腫れますよ 冷やす これが一番!」 かかりつけの先生の言葉どおり 昨夜から注射のあとが少しずつ腫れ 今朝は痛みを伴い腕が腫れあがっています (T_T) インフルエンザにはかかりたくな...
UPのお知らせ…「ブログ一周年コラボ企画」第四弾
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UPのお知らせ…「ブログ一周年コラボ企画」第四弾

                          私も欲しいなぁ プレゼント^^『UPのお知らせ』「ブログ一周年コラボ企画」第四弾 【波の彼方へ】先日UPしました 【プラチナの景色】 から viviさんが画像を作ってくださいました。彼女と別れたあとの 傷心の利樹が描かれています。本編では別れから携帯の会話まで 4年の歳月が空白になっていました。その部分の彼がそこに……画像から書き起こした短編です。vivi...
掃除の神様がやってきた?かも ^m^
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掃除の神様がやってきた?かも ^m^

                         このクマさん どうやって描くの?ブロコリサークルがメンテナンスに入ったのはいつでした?忘れるくらい前かも (-"-) みなさん そろそろ禁断症状が出てる頃じゃありませんか?「太王四神記」の動画やレビューなどもUPされるはずだったでしょうに……創作だって続きを読みたいでしょう!(私も先を読みたーい!)サークルは機能していませんが ブロコリ自体は通常なの...
【花の降る頃】 17 ― 冬景色の中で ― 前編
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【花の降る頃】 17 ― 冬景色の中で ― 前編

クリスマスが過ぎ 街中は新年の飾り付けへと色合いを変化させつつあった。自分にとってクリスマスなど こんなにも無意味なものだったのかと 圭吾は やや白んだ気持ちで朝の道を運転していた。去年までのクリスマスは由梨絵と一緒に それなりの夜を過ごしていた。今年は彼女と別れたため予定などなく 幸か不幸か山中の宿舎で男ばかりで迎えたクリスマスは 夕食のデザートにささやかなケーキが出され ビールで乾杯という い...
【花の降る頃】 17 ― 冬景色の中で ― 後編
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【花の降る頃】 17 ― 冬景色の中で ― 後編

真帆を通じて萌恵を呼び出したことを 圭吾は詫びたあと涙顔の萌恵が落ち着くのを待つ間 自分の近況を話した。萌恵の返事はなかったが かすかに頷く顔に 続けて語りかけた。「稽古場で一度会ったね あの時話ができたら良かったんだが僕の方の気持ちの整理がつかなくて……付き合っていた彼女と別れたばかりだったから……」ハンカチで目元を押さえていた萌恵の手の動きが止まり 圭吾を見つめた。「こんなことを今頃言うなんて き...
15万ヒットありがとうございます & 創作を更新しました
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15万ヒットありがとうございます & 創作を更新しました

                    10万人目のお客様をお迎えしたのが8月末そして 昨日15万人目のお客様が!いつもご訪問ありがとうございます。記念に……というのも変ですが、連載中のひとつを早めに更新しました。【花の降る頃】 17話 -冬景色の中で-気持ちがすれ違い 思い合うのに踏み込めない圭吾と萌恵17話では そんな二人に変化が……少し余談を……【花の降る頃】 の舞台はどこかおわかりでしょうか。そ...
【手のひらの幸せ】  ― 未来へ ― 1
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【手のひらの幸せ】 ― 未来へ ― 1

子どもはすくすく育つと言うけれど その通りだと思う日に日に変化する鈴を目の当たりにして 子どもの成長のめざましさを実感した一ヶ月だったもう少し休暇をとりたいところだが 仕事の関係でそうもいかず 俺は職場に復帰した昼間は鈴と二人になった円華は 最初の頃は不安そうだったが 近所の公園で知り合った人の紹介で地域の育児サークルに入り この頃は楽しそうに過ごしている同じくらいの子どもを持つ母親同士 情報交換...
【手のひらの幸せ】  ― 未来へ ― 2
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【手のひらの幸せ】 ― 未来へ ― 2

夏が過ぎ 鈴が一歳の誕生日を迎えた頃 円華の後輩の桐原さん一家が遊びに来てくれた去年の夏にも遊びに来てくれたのだが その後生まれた鈴とは初対面だったそのとき ちょうど今の鈴くらいの赤ちゃんだった男の子は この夏で二歳になっていていたずら盛りで大変だと和音さんがこぼしていたそして 和音さんの腕には この夏生まれた二人目の子どもが抱かれていた「すずちゃんじゃなくて リンちゃんって呼んでるの? わぁ可愛...
まだ ”まめ子” がいるみたい♪
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まだ ”まめ子” がいるみたい♪

12月も半ば……まだ ”まめ子” の私です!(*^^)v月曜日は家にいる日なので 今朝も家族を送り出してから棚の整理をしていました。キッチンの壁に取り付けた棚の中の物をすべて取り出し 不用品は処分!あら~こんなにも隙間ができるなんて……と思うほどスッキリ!!お菓子を焼く道具類を こんなに持ってたのね……だけどここ一年ほどネットが忙しく(笑) ケーキ型やオーブンの出番も少なく なんだかほこりをかぶってる (~_~;...
思うこと いろいろです……
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思うこと いろいろです……

                    ウチのチビ まだプレゼントを教えてくれないの                      クリスマスまであと4日 困ったわぁ~((+_+))風邪なのか お腹の調子がイマイチ 鼻の奥もな~んだかモヤモヤ (-"-)お腹はなんとか治ってきましたが 喉と鼻の調子が悪いの。気をつけなくちゃ!このところ頑張っていた大掃除は 残すところ 数年来のアルバムの整理のみ。これが難問で…...
風花 結婚白書Ⅲ 目次
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風花 結婚白書Ⅲ 目次

……ふと 桐原さんの顔が浮かんでくる滅多に見せない 私にだけ向けられたような笑顔と 不安げな手が私の中に オリのように沈殿しては また浮かび上がってくる彼女の存在が 私の中で次第に大きくなってゆくにつれて誰かを想い始めたときのような 初々しい感情を呼び起こした……(旧題『ゆうすげの道』)【風花】 1 ― 予感 ―      2 ― 動揺 ―     3 ― 芽生 ―  4 ― 自覚―       5 ― 共鳴 ―...
【風花】 1 ― 予感 ―
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【風花】 1 ― 予感 ―

既婚者と付き合ってみたいなんて 信じられないわ スリルを味わいたいのかしら人の持ち物を欲しがる子どもと一緒じゃない既婚者との恋愛 それは 私の常識の中には存在しない彼が現れるまでは そう思っていた……本省から転勤してくる課長達 彼らは 次のステップへ進むため 若いうちに地方勤務を経験する数年の地方勤務をへて本省へ帰り あとはキャリアの道を進む毎年 本省と地方勤務の次期赴任地として課長達が転勤してくる ...
【風花】 2 ― 動揺 ―
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【風花】 2 ― 動揺 ―

昨夜の酒がまだ残っているのか ベッドからなかなか起き上がれない  気だるさが全身を覆っていた家族に邪魔されることもないし 気ままに午前中を過ごす一人暮らしの不便さと引き替えに 自由な時間を手に入れた気分だ地方赴任が決まると 先輩達が口をそろえて言った「課長といったって 向こうから見れば若造だからな 課長補佐の扱いが大事だぞ それと 地方の女の子には気をつけろよ 遊ぶのは本人の自由だが 本気になると...
【風花】 3 ― 芽生 ―
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【風花】 3 ― 芽生 ―

 「手を離して……」 和史の手を軽くふりほどいた「誰かに見られたら恥ずかしいじゃない 課長にも見られたかも」 誰よりも 遠野課長に手をつないで歩く姿を見られたくなかった「なんでだよ 見られたっていいじゃないか 今さら隠すような仲じゃないし」 和史の声は 少し怒っていた しばらく黙って歩いていたが……「部屋によってもいいだろう?」 和史がたまりかねて話しかけた「今日はダメ これから実家に行くの」 「聞いて...
【風花】 4 ― 自覚 ―
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【風花】 4 ― 自覚 ―

賢吾の幼稚園行事が忙しいのだと言って 4月に来たっきり 妻は一度も来ていない一人暮らしにも慣れ 出張の準備も手早くこなせるようになった金曜日には賢に会えるな……息子の写真を眺めながら独り言がでる飛行機の座席は 桐原さんと隣になった幹事役の若い職員が席を振り分けたら 私たちが余ったのだそうだ「誰と一緒でもいいよ」そう言って 彼女と苦笑いしながら隣同士の席に着いた この時期 客が少ないのか 機内は空席が...
【風花】 5 ― 共鳴 ―
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【風花】 5 ― 共鳴 ―

赤ちゃんって こんなにも可愛いもんなんだ昨日兄貴の家にきてから もう何度 大輝の顔を覗いただろう すやすや寝てる顔 ふにゃふにゃ泣く顔グズグズいって 和音さんを困らせてる顔 一番好きなのは おっぱいを飲むときの顔んぐんぐ言わせながら 全身のエネルギーを使っておっぱいを吸っている それから 大輝におっぱいを飲ませている和音さんの顔も好きだ人って こんなにも幸せそうな顔をするんだ大輝を見つめる目が慈愛に...
【風花】 6 ― 抱擁 ―
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【風花】 6 ― 抱擁 ―

 飛行機は引き返すことなく無事についた「今だけ恋人になります」 彼女が言い出した ”つかの間の恋人”飛行機の中で 私たちは疑似恋愛をしていた でも 本当に 君とそうなりたいと言ってしまいたい何を考えているんだという 冷静な自分 気持ちに素直になれよという 積極的な自分 今はまだ 冷静な自分が なんとか平静を保つ手助けをしていた「帰りはどうするの?車で来てるから送ろうか?」 彼女と ここで別れた方がい...
【風花】 7 ― 接吻 ―
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【風花】 7 ― 接吻 ―

 彼の唇が私の肌に触れる体の感覚は これ以上なく研ぎ澄まされ唇が押し当てられた 一点 一点を 全神経で感じていた顎から 離れた唇は やがて私の唇に触れた今だけ すべてを忘れよう今だけ 彼のことをだけ考えていたい いまだけは……彼の唇が 吸い付くように私と重なった彼とこうして口づけたいと 心のどこかで望んでいた自分の気持ちを押し込めたはずなのに 彼への想いは募る名前を呼んで欲しい 私に触れて欲しい...
【風花】 8 ― 告白 ―
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【風花】 8 ― 告白 ―

昨夜はほとんど寝ていない明け方 少しまどろんだか それでも 朝はいつもと同じ時刻に目が覚めた目覚ましに濃いめのコーヒーを淹れる サイフォンから漂う香りが 昨夜の出来事を呼び起こした コーヒーの香りとともに蘇る 彼女の肌と唇の記憶 手に 口に 鮮明に残る感覚を忘れまいと 自分の手を握り締め 口元に押し当てた彼女の腕に抱かれながら 胸元に口づけた何もかも忘れて 思いを遂げようとした あの時 理性などどこに...
【風花】 9 ― 思慕 ― 
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【風花】 9 ― 思慕 ― 

 気がつくと 目が彼の姿を追っている こんなに狂おしい恋をするとは思わなかった鏡に姿が映るたびに 肩先と胸元の刻印を確かめる徐々に消えていく彼の名残り それに反比例するかのように 彼への思慕は募っていった  「たまにはお茶しない?」 水城さんから誘われた最近仕事が忙しく お互いに誘うこともなくなっていた「ねぇ 野間さんのこと聞いたんでしょ?辛いだろうけど元気を出してね貴方には もう少し大人の男性の...
【風花】 10 ― 暗示 ―
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【風花】 10 ― 暗示 ―

彼女が かいがいしく私の世話をする汗をかいたパジャマを取り替え ベタついた肌を 熱いタオルで拭いてゆく「熱が下がるまで シャワーは我慢してくださいね」 取り替えられたシーツに身を沈めた さっきまでの湿った感触がなくなり 新しいシーツは さらりとした肌触りが気持ちよかった玄関をあけて そこに立っていた彼女を見たときは驚いた仲村さんから「若い職員をそっちへやったから 病院へ連れて行ってもらうといい」そう...
【風花】 11 ― 恋情 ―
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【風花】 11 ― 恋情 ―

すがるような目が私を引き止める「もう少し ここにいてくれないか……」 人恋しいのか いつもの厳しさはどこにもなく 頼りなげな彼の目”男って病気になると 本当に気弱になるのよ ちょっと体調が悪いと 重病人みたいに寝込むんだから”母がよく言っていた本当にそうだわ 今日の遠野さんは子どもみたい……彼が眠るまで側にいて 夜中近くに自分の部屋に戻ってきた仲村課長から 遠野さんが病気だと聞いたとたん 何かにたぐり寄せ...
【風花】 12 ― 忘我 ――
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【風花】 12 ― 忘我 ――

    部屋に漂う香りには覚えがあった この前 味わうことの出来なかった あの香り「このコーヒーを やっと飲んでもらえますね」 嬉しそうにカップを差し出す一口飲むと 濃厚な味わいが 鼻腔に広がった「美味しいでしょう? 毎日飲んでたら あと少しになっちゃって……今日飲んでもらえて良かった」 聞きたいのに 野間君と どんな話をしたか知りたいのに言い出せずにいる「彼 他に好きな人ができたからって……...
【風花】 13 ― 逢瀬 ―
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【風花】 13 ― 逢瀬 ―

週末は 私のマンションで一緒に過ごすことが多い飲み会の後など そのまま ここに泊まり 翌日は一緒に出勤することもあった いつのまにか 彼の着替えも私の部屋に置かれていた「こっちに引っ越してこようかな ここなら食事にありつけそうだ」 「わぁ ひどい ご飯が目当てなの?」 「まさか 朋代が目当てだよ」 臆面もなく こんな言葉がでるくらい私達は親密になっていた彼のすべてを受け入れた それは 私に苦悩と喜びを...
【風花】 14 ― 混沌 ―
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【風花】 14 ― 混沌 ―

自宅へ帰ってきて二日 妻へは まだ話を切り出せずにいた「賢吾 緊張してないようだね 大丈夫そうじゃないか」 今回 自宅に戻った理由は 幼稚園行事の参加だけではなかった賢吾の小学校の入試があり 両親の面接が本当の目的だった「えぇ 塾の先生も 賢吾なら大丈夫だって言ってくださってるのよ  受験する学校 私のお教室の生徒さんのお子さんが通ってらっしゃる私学で とってもいいみたい あの子 早生まれだけど落ち着...
【風花】 15 ― 困惑 ―
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【風花】 15 ― 困惑 ―

泣かないつもりだった  泣いたら負けてしまいそうだったから……家族に反対されても 彼のことは絶対にあきらめないと決めていた どうして これほどこの人を好きになってしまったのだろう惹かれてはいけない人だと 思えば思うほど 彼に気持ちが傾く  「朋代 どういう事かわかってるのか!」いつも穏やかな父が 声を荒げた初めて見る父の怒りだった わかってるわ わかってるけど どうしようもない想いなの……父が 一冊の雑誌...
【風花】 16 ― 決意 ―
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【風花】 16 ― 決意 ―

彼女が私の部屋に来たのは 夜10時近くだった悲痛な表情で キリッとした口元は さらに固く結ばれていた部屋に招き入れたが 座りもせずに 床に視線を落としたまま座るように勧めたが 頭を振って絞り出すように話し出した「牧野補佐から 遠野さんや局長の立場も考えるようにと言われました父の思いも聞きました 父親として世間に認められない関係は許せない私が意地を通せば たくさんの人を犠牲にするからと……息子さんのこ...
【風花】 17  ― 流転 ―
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【風花】 17  ― 流転 ―

 「これからの人生を君と歩いて行きたいと思っている」 待ち望んだ言葉だった両親や兄に反対され 家には私の居場所がなかった家を出ることなど いまの私には何でもないこと けれど 彼の言葉に思いとどまった「ご両親に 誠意を持って話をしようと思う」 誰にも認めてもらえない私達の関係 彼だけがいればいいと思うけれど  時々 それさえも不安になる暮れも押し迫った30日 遠野さんは東京に帰っていった本当に待って...
【風花】 18 ― 嫉妬 ―
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【風花】 18 ― 嫉妬 ―

全国会議を一週間後に控え 準備に追われる日々 残業が続いていた「どうでしょう 金曜日だし 今夜は早く切り上げて飲みにいきませんか?」 課長補佐が提案し 仲村課長の課と一緒に出掛けることになった離婚の話し合いは 始めこそ上手くいかなかったが お互いの気持ちのズレや今の生活状況 仕事への意識の差など  話し合ううちに 結婚生活の維持に無理があると 妻も理解してきた フードコーディネーターとして マスコミに...
【風花】 19  ― 情愛 ―
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【風花】 19 ― 情愛 ―

 秋を忙しく過ごしたせいか 今年は冬の訪れをいつもより早く感じる あと一ヶ月足らずで今年も終わりだと思うと 今年は本当に早く駆けていった一人暮らしを始めてから 家に帰るのは月に一度ほどだったのに ここ二ヶ月近くは毎週のように 実家に通っている そう簡単には許しをもらえないとは思っていたが 両親の気持ちは思った以上に強硬だった実家に帰るたびに目に入る ゆうすげの花の写真”健気に咲き続ける花だよ”父は...
【風花】 20 ― 融和 ― 
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【風花】 20 ― 融和 ― 

 朋代から電話が来たのは 夜9時を少し過ぎた頃だった離婚してから東京へ出張の際は 姉のところに泊めてもらっていた そのとき賢吾も一緒のことが多かった昨日から一緒にここに泊まっていて つい今しがた眠ったばかりだった「うん わかったよ……もう泣かないで……明日の夕方にはそっちに着くから……そうしてもらえると助かるよ」 私の電話を 姉が心配そうに聞いていた「どうしたの 心配なことがおこったの?」 「いや そ...
【風花】 21 ― 旅立 ― 
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【風花】 21 ― 旅立 ― 

ピンクダイヤのネックレス時折 手で触れては安心する大晦日 空港に行く前 衛さんが急に車を止めて宝石店に立ち寄った「今までプレゼントをしたことなかったね 気が利かないヤツだって 母と姉に怒られたよ」 宝石店に寄った理由を苦笑いをしながら教えてくれた悩んだ末選んだのが ピンクダイヤのネックレスだった その日から 毎日身につけている年が明け 一月も終わろうとした頃 父に呼ばれて 衛さんと二人で実家に足を運...
【風花】 22 ― 平穏 ―
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【風花】 22 ― 平穏 ―

 着任して二週間が過ぎた今までと同じように 朝 自分でコーヒーを淹れる思いがけず別居を余儀なくされた 結婚生活の始まりになっていた一緒にこちらへ来た朋代だったが 数日滞在して 私が生活できるように整えてから また実家に戻った退職後の手続きが残っており それらを済ませ 二日ほどで私の元に戻る手はずになっていた朋代が実家に帰った日のことだった  「お父さんが大変なことになっていたの」 二日前 義父が...
【風花】 23 ― 慈愛 ― 
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【風花】 23 ― 慈愛 ― 

 空港に降り立つと 冷気が全身を包み 南半球に来たことを肌で知った メルボルンから飛行機を乗り継いで タスマニアのホバートに着いたのは 日本を発った翌日の昼過ぎだった旅行が決まってから抱えていた さまざまな思い それも今は 蓮見さんご夫妻にお会いした感動で薄らいでいた「高校時代から仲がよくて 性格も違うのに よく一緒にいたのよ」 蓮見さんの奥様 志津子さんが 久しぶりの再会を喜ぶ男性二人を見なが...
【風花】 24 ― 柔和 ―  前編
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【風花】 24 ― 柔和 ―  前編

ガーデンシティーと呼ばれるだけあり 街を囲むように美しい公園や庭園が整備されていた古い町並みと新しい町並みが上手く共存し 新しいのに どこか懐かしさを漂わせる メルボルンに入った時の印象だった「19世紀のイギリスの雰囲気が色濃く残っている街なんだ 歩いて見て回るのもいいもんだぞ」 蓮見にも言われたが 今日はゆっくり散策するつもりだった朋代が抱えていた思い私との結婚は 彼女にさまざまなものを背負わせ...
【風花】 24 ― 柔和 ―  後編
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【風花】 24 ― 柔和 ―  後編

 二人だけの生活も二年を過ぎようとしていた私たちに また転勤の季節が近づいていた「スーツを見慣れているのに 礼服は引き締まって見えるわね」 鏡の前で シルバータイを締める私の後ろに立って 朋代の弾んだ声 「このズボン少しきついな 前に履いてたのを出してくれないか」 「あら 太ったの?」 「太ったんじゃないよ 元に戻っただけだよ」 「それって 太ったってことよね」ふふ……と笑いながら クローゼットから...
暮れのご挨拶です (*^_^*)
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暮れのご挨拶です (*^_^*)

                  しまい忘れたリース 私が作ったのヨン♪(自慢 笑)今年もあと三日 昨夜からの雨でとても暖かい 師走とは思えぬ気温です。壁を見ると あーっ!まだクリスマスリースが掛かってる!!記念にパチリ(笑)数年前 全て手縫いで作成したものです (オーナメントも全部作ったの)こんなエネルギーがあった頃もあったのね この頃はそんな元気もなく  (-"-)  冬は帰省しないため 毎年...
【花の降る頃】 18 ― 春の予感 ― 前編
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【花の降る頃】 18 ― 春の予感 ― 前編

正月料理とともに並べられた 小ぶりな茶碗からただよう梅の香り。結び昆布と小さな梅干が入ったそれは福茶と呼ばれ 芹沢家の正月には欠かせないものだった。この香りをかぐと正月だと思うよと誰ともなしに言い 圭吾は崩していた足を正座しなおし 丁寧に茶碗を口に運んだ。芹沢遼子は 福茶を出しながら息子の様子を見ていた。大晦日に出かけて行った圭吾は 帰宅したあと それまでの思いつめた表情が一転し今までにない晴れや...
【花の降る頃】 18 ― 春の予感 ― 後編
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【花の降る頃】 18 ― 春の予感 ― 後編

「圭吾」聞き覚えのある声が背後から聞こえ 圭吾は弾かれたように振り向いた。そこには 茶花の師匠の息子で 圭吾と幼なじみでもある 緒方恭平と 妻の香織が立っていた。「よぉ 珍しいところで会うな あれっ? 萌恵さんだったかな この間の茶会で一緒になったね」恭平が 圭吾のそばに立つ萌恵に気がつき 親しみのある顔になった。そんな恭平に 萌恵はゆっくりと頭を下げた。「おめでとうございます」萌恵の挨拶に ほか...