恋愛小説文庫 花模様

【ボレロ】 9-2 -嘘と真実のはざま-
つづきを読む

【ボレロ】 9-2 -嘘と真実のはざま-

雲が流れ夏の日差しが戻ってきた。 高原の涼しさも降り注ぐ日差しにはかなわない。 先に帰る円城寺君を見送り、私たちはまた庭からテラスへと移動した。 ほどなく、注文したつもりのないコーヒーが運ばれてきて怪訝そうな顔をすると、  「円城寺さまからです。こちらはカフェインレスのコーヒーです」  顔見知りになったアルバイトの女の子が、にこやかに言葉をそえてテーブルに置いていった。 「へぇ、彼も気が利くじゃない。カ...
更新のお知らせ
つづきを読む

更新のお知らせ

   【ボレロ】 嘘と真実のはざま 9-1・2 ・・・UPしました。  130万のキリ番更新です。   珠貴の友人、波多野結歌のいたずらから始まった騒動です。 軽い冗談のはずが、思わぬ方向へ・・・ 次回が最後です。    ・・・ただいま連載中・・・  【風鈴とアイスクリーム】   【Shine】 episode 9  ― 豪華客船 ―    &...
【ボレロ】 9-3 -嘘と真実のはざま-
つづきを読む

【ボレロ】 9-3 -嘘と真実のはざま-

カーテンの隙間から差し込む光が朝を教えてくれた。 浅い眠りのあとの気だるさを抱えながら、ベッドから起き上がり窓辺に近づくと、深夜から 降りだした 雨は止み青空が広がっていた。 雨が大地の熱を冷ましたのか、どんよりと曇った私の気持ちとは裏腹に涼しく爽やかな朝 だった。 宗はまだ眠りの中で、穏やかな寝息を立てている。 昨夜はなかなか寝付くことができず、目を閉じても浮かんでくるのは、円城寺君と宗...
更新のお知らせ
つづきを読む

更新のお知らせ

   【ボレロ】 嘘と真実のはざま 9-1・2・3 ・・・UPしました。  小さな嘘が波紋を呼び、気持ちが落ち着かない珠貴。 宗一郎の行動は・・・  130万ヒットの 【ボレロ】 いかがでしたか。 読んで 「そうきたか!」 と思ってもらえると 、私の頬も緩みます ^m^   明日は 【風鈴とアイスクリーム】 を更新します。     ・・・た...
【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 4
つづきを読む

【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 4

ふわふわと浮いた感覚のまま流れに身を任せ、気がつくと 「結婚の挨拶」 のセレモニーは終わっていた。 すっかりくつろいだ様子で、父と西垣さんは差し向かいで話をし、母も嬉しそうに加わっている。 話題は西垣さんの実家のことで、彼が両親は兄夫婦と同居していますと言ったことから、では結婚したらここに住んではどうかと父が言い出した。 二世代でも住める広さがあるが、庭に家を建ててもいいのだと、かなり具体的な話を持...
ちょっとひといき・・・寝坊と最終夏物バーゲン
つづきを読む

ちょっとひといき・・・寝坊と最終夏物バーゲン

  団扇、風鈴、蚊取り線香夏もおわりかな・・・   夏の疲れがたまっていたのか (と、最初にいいわけを) 家族の出勤時刻に起きるという、とんでもない寝坊をしてしまいました!  出掛ける1時間半前には起きて準備をはじめるのに、目覚まし時計にも気がつかず (いつの間にか消してました・・・) パッと目覚めて時計を見て 「今日は日曜日?」 と思った私、 金曜日だ...
【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 5
つづきを読む

【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 5

結婚を控えた女性がそうであるように、私にも新生活への夢と希望はあった。 彼と一緒に新居を探したり、二人の好みの家具や生活用品をそろえながら家をととのえていく過程は、きっと楽しいだろうと思っていたのに 「合理的」 の一言のもとに楽しみはなくなった。 なんだかなぁ…… 胸のモヤモヤは晴れそうにない。 部屋の空気を入れ替えて、気分を変えてみようか。 「部屋、暑いでしょう。窓を開けましょう」 彼の手をほどいて立ち...
【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 6
つづきを読む

【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 6

   「でも、ユキちゃんは、なんだかなぁって思うんでしょう?」 「うん……」 順調ねと言いながら、ちいちゃんは私の迷いも見過ごさずにいてくれる。 その優しさが嬉しくて、「たいしたことじゃないからいいの」 と言っていた。 「よくない」 「えっ?」 「よくないよ。ユキちゃん、いっつも自分が我慢すればいいんだって考えるでしょう。 何が気になるのか、どうして欲しいのか、西垣さんにちゃんと言わなきゃ」 言...
【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 7
つづきを読む

【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 7

 夕方の買い物客でにぎわう商店街は、呼び込みの声やタイムセールを知らせる声が、威勢よく響いていた。 行きかう人を避けながら、母に頼まれた買い物のために乾物屋を探すが、なかなか見つからない。 『言わなきゃいけないときってあるのよ』 歩きながら、ちいちゃんが言ってくれた言葉が気にかかっていた。 言わなきゃいけないときっていつだろう…… そんな重大な事態が訪れるとは思えないが、もしもそんなときがやってきて...
【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 8
つづきを読む

【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 8

夏の終わりの夕方は、思いのほか早く日が暮れる。 あれからすぐ東川さんに電話をしたが、何度かけてもコールセンターにつながり、『留守番電話サービス』 のアナウンスが流れてきた。 相手のいない電話に話すことが苦手な私は、東川さんに用件の伝言ができず、三度目の挑戦で 『小野寺です。電話をください』  とメッセージを残したのだった。 たったそれだけのことでエネルギーを使い果たし、外灯がともった家にたどり着く...
【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 9
つづきを読む

【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 9

私の返事を聞いて、父と西垣さんが笑い出した。 笑うことだろうか、私は泣きたい気分なのに。 「おまえの式に決まってるじゃないか」 「いつ決まったの?」 「いつって、それを西垣君とは話し合って、できるだけ早い時期の、 式場が空いている日にしようと決めたんだよ。 西垣さんのご長男の奥さんが結婚式場の仕事をしているそうで、これ幸いと、 相談に乗ってもらって決めたところだ」 「そうじゃなくて……」 「なんだ...
【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 10
つづきを読む

【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 10

私がため息を漏らすと、式場の確保が最優先である、みんなそうしているのだから、それでいいんだと、父も西垣さんも口をそろえて言う。 私が勇気を出して本心を語っても、気持ちは届かないだろう。 ほかのことには 「筋を通せ。誠意を見せろ」 と言う父なのに、ご両親への挨拶を軽んじるのか。 「納得できないことはしたくない。時を待つ」 と常々言っている西垣さんのこだわりはどこにいった のか。 私には、二人が自分の...
ちょっとひといき・・・雨の中のスカイツリー
つづきを読む

ちょっとひといき・・・雨の中のスカイツリー

全部見えた瞬間にパチリ!   台風の影響で大雨となった関東地方、 高速道路も 「時速50キロ」 の速度制限となる強い雨になりました。 目の前の車が見えないほどの雨は、怖いくらい。  首都高から見えたスカイツリーも、半分は雲の中、 上半分が見えないので、建設途中のスカイツリーのようでした。  用事があり、朝早く起きて出かけた連休二日目でしたが、 帰宅後、頭...
【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 11
つづきを読む

【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 11

家から駅前までの車内には、重苦しい空気が充満していた。 私は、西垣さんが運転する車の助手席にうつむき加減で座り、「どうしてこうなるの?」 と叫びたいのをこらえていた。 彼が一緒に行くことになるとは、予想外だった。 気鬱な席から抜け出すことはできたが、家を出る間際にひと悶着あった。 東川さんとの電話を終え 「仕事ではないが急ぎの用だから」 と断って席を抜け出そうとして父に呼び止められた。 仕事の用でなけ...
【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 12
つづきを読む

【風鈴とアイスクリーム】 3、私、結婚するの? 12

 駐車場から駅前の通りまで歩きながら、手をつなごうとする彼の手を、私はやんわりと拒んだ。 拒んだといっても手を引っ込めただけだったが、彼にはそれが伝わったのか、すかさず肩を 抱かれた。 肩の手を振り払うことはできず、けれど、最寄駅周辺でもあり、知り合いに会うのではないかと人目が気になり顔を伏せて歩いた。 彼の手を拒否したつもりだった。 言われる一方で、なにも言い返すこともできない私のささやかな...