恋愛小説文庫 花模様

【風鈴とアイスクリーム】 5、リセット 3
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【風鈴とアイスクリーム】 5、リセット 3

店の入口をふさぐように立つ私たちを、迷惑そうな顔で避けながら客が店内に入っていく。 邪魔にならないよう、後ろに退こうとしてバランスを崩し、西垣さんの腕に支えられた。 「いつ、こっちに来たんだ?」 「西垣さんは、どうしてここに?」  質問に質問で返すなと言われたことを思い出したが、聞かずにはいられなかった。仕事だよ……と西垣さんが言い、私も仕事です……と返事をした。 そんな話は聞いてないよと言う西垣さん...
【風鈴とアイスクリーム】 5、リセット 4
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【風鈴とアイスクリーム】 5、リセット 4

「先週、西垣が電話してきて、たまには会おう、話したいこともあるからなんて、らしくもないことを言うんです。 いきなり呼び出されて、西垣の都合で付き合わされるのがいつものパターンでしたから、これは何かあったなと思いました」 「それが、今日ですか」 「懇親会が終わるのは夜中すぎだと言うと、遅くなってもいいから会おうって。 こっちは初めての会合で疲れてるのに、迷惑な話ですよ。 コイツ、自分のペースに人を巻き込...
【風鈴とアイスクリーム】 5、リセット 5
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【風鈴とアイスクリーム】 5、リセット 5

「我慢させていたのか」 と、自らを省みる言葉を口にしながら、そこには私を責めるようなニュアンスも垣間見える。 彼にそのつもりはないのかもしれないが、私にはそう思えてならない。  言われた言葉の受け取り方の違いが、ふたりの気持ちに溝を作っていた。 常磐さんから話を聞き、西垣さんの本心に触れることができた、こんなにも私を思っていてくれたのか、もっと話し合って心を開いてみよう、そう思っていたのに……...
【風鈴とアイスクリーム】 5、リセット 6
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【風鈴とアイスクリーム】 5、リセット 6

コースの芝がいつになく爽やかに見えた。 絶好のゴルフ日和ということもあるが、心に横たわっていた悩みが解消し、気持ちが軽くなったことにもよるもしれない。 ブロック会議の翌日に行われるゴルフは父の名前で申し込んだもので、経験不足を理由に断るつもりでいたのに、私は朝早くからコースに立っていた。 みなさんの腕前はそれぞれで、常磐さんのように大学のゴルフサークルで活躍した人もいれば、今日のために誘われて始めた...
【風鈴とアイスクリーム】 6、リスタート 1
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【風鈴とアイスクリーム】 6、リスタート 1

カジュアルな服装に身を包みリラックスした様子の男性5人に対し、私以外の女性4人は、服装もメイクも相当に気合が入っている。 自己紹介に添える一言も、男性陣は軽く触れる程度だったのに、女性陣は身振りもまじえ男性へ並々ならぬ意欲のアピールがあり、彼女たちに圧倒された私は 「よろしくお願いします」 と言うのが精一杯だった。 目立たぬよう、服もバッグもおとなしい色を選びアクセサリーも一切身につけずにきた。 「座...
【風鈴とアイスクリーム】 6、リスタート 2
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【風鈴とアイスクリーム】 6、リスタート 2

いまだに苗字を思い出せない 『タケシさん』 と歩きながら、自分のことばかりを熱心に話す彼に、ただ相槌をうっている。 仕事はさっきも話しましたが、とにかく忙しくて……と言うが、話を覚えていない私は 「えぇ……」 と知った振りで話を合わせるだけ。 職場ではこんなポジションで、後輩とか同僚に頼りにされているんですよと、鼻につくような自慢話もあったが、聞き手に徹したい私にとっては好都合だった。  &...
ちょっとひといき・・・チョコレートが食べたくなるとき
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ちょっとひといき・・・チョコレートが食べたくなるとき

   チョコレートはお好きですか? 私は、「すごく好き」 でもなく 「嫌い」 でもなく・・・ 気が向いたら食べる程度です。  よく 「疲れると甘いものが食べたくなる」 と言いますが、先日それを実感! 疲れからか、無性にチョコレートが食べたくなり、ナッツがザクザク入った 大きな板チョコを一枚完食。 板チョコなんて、めったに食べないのに珍しいこともあるものです。...
【風鈴とアイスクリーム】 6、リスタート 3
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【風鈴とアイスクリーム】 6、リスタート 3

大通りに店を構えるコンビニは、通りに並ぶ店舗の中でもひときわ明るく目立っていた。 店内を見通せるガラス張りの造りは人の視線を引きつけるのか、明かりに吸い寄せられるように次々に人が入っていく。 ファミレスやコンビニの立地条件に適しているのは、市街地から住宅地に向かう交差点の角地であると、先日、「お孫さんから預かったおつり」 を届けてくれた北条さんの話だった。 自宅へ帰る道を走り信号で止まったとき、目の...
【風鈴とアイスクリーム】 6、リスタート 4
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【風鈴とアイスクリーム】 6、リスタート 4

 「いろいろ、ごめんなさい」 「そんなことないです」 「さっきからポケットを気にしてるけど、電話に出なくていいの?  里緒菜さんからでしょう?」 「いいんです。彼女とは、もう終ったんで……」 東川さんはそうかもしれないが、彼女はどうだろう。 何度も電話をかけてくるのは、気持ちに区切りがついていない証拠ではないか。 相手に答えを求めても応えてもらえない辛さは私がよく知っている、東川さんに薄情なことは...
【風鈴とアイスクリーム】 6、リスタート 5
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【風鈴とアイスクリーム】 6、リスタート 5

口論を止めに入ることもできず、けれど、このままここにいてはいらぬ誤解を生みそうで、気配を消すように小さくなりうつむいていたのだが、いきなり口論に巻き込まれた。 「亮君が変わったのは、その人のせいでしょう」 「えっ?」 「西垣先生がいるでしょう、亮君を誘わないで」 「わたし?」 「そうよ! 亮君を返して」 返すも返さないも、どうしてこんな展開になったのか、西垣さんの名前がなぜ彼女の口からでてきたのか、私に...
【風鈴とアイスクリーム】 6、リスタート 6
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【風鈴とアイスクリーム】 6、リスタート 6

恋愛経験は少なくても、それなりの経験はある、不意のキスくらいでうろたえたりしない。 これくらい、たいしたことじゃない…… すました顔で 「人が見てるよ」 と言ったつもりが、声がうわずった。 キスの味なんて大差ないと思っていたのに、亮君のキスは文字通り甘く、キャラメルラテの深い甘みがいつまでも口の中に残っている。 初めてのように新鮮で、いつまでもドキドキが続く胸に手を当て 「落ち着け、落ち着け」 と言い聞...
ちょっとひといき・・・今年もあと二ヶ月半
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ちょっとひといき・・・今年もあと二ヶ月半

  少し気の早い話ですが、年末年始は帰省の予定です。 お正月を実家で過ごすのは十数年ぶり。 両親や親戚、友人たちと過ごすお正月、楽しみです。  九州に帰るためには・・・ 時間と体力があれば車でもなんとか! 風景を楽しみながらの、新幹線の旅もよし。 早くて効率の良いのは飛行機です。  すでにこの時期、年末年始の航空券の予約が可能です (一部の航空会社ですが...
【風鈴とアイスクリーム】 7、いつから好きだったの? 1
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【風鈴とアイスクリーム】 7、いつから好きだったの? 1

電話中の父を見ながら、隣のデスクのベテラン社員の岡田さんがふふっと笑った。 また、からかわれるなと思っていると、案の定…… 「彼って律儀だわ。毎度毎度、電話で社長の許可を得るなんてね」 「彼って?」 「またまた、とぼけるんだから。東川さんに決まってるじゃない。 つきあってるんでしょう?」 「つきあってるとか、そんなんじゃなくて」 「あら、そうなの? 毎週お誘いがあって、いそいそと出かけてるのに?」 「...