もうひとつの・・・【彼と私のバラ色の毎日】 1
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サークルの、創作投稿者のみなさんと参加した 「彼の妻だったら・・・」 の設定で書く短編。
楽しい企画でした^^
投稿した創作の設定は、俳優の彼と作家の私でした (おそれ多い設定です 笑)
実は・・・もう一作書いていました。
彼は、ちょっとわがままな夫・・・私は彼の上司 (またしてもありえない設定 はは・・)
今日から3~4回にわけてUPしようかと・・・
(続きは明日かもしれないし、明後日かも ^^;)
お付き合いいただけると嬉しいなぁ^^
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もうひとつの・・・【彼と私のバラ色の毎日】 (Ⅰ)
今日の彼の仕事は、CMについてインタビュー
長い髪が邪魔そうだわ 髪が長いと男性的なインパクトに欠けるのよね まったくいつになったら切れるのかしら
早く髪を切ってイメージチェンジして欲しいのに なかなかそれができず私はイライラしていた
今日の顔だって 私が求める彼には遠く 現場を見ながらため息が出た
「どうしたんですか ため息なんてついて 彼の仕事ぶり いつも完璧じゃないですか
社長は ジュンさんに対して厳しいですね」
「あたりまえでしょう! 厳しいくらいがいいの 私くらいしか彼に苦言を言えないでしょう」
「そうですが……聞きましたよぉ 社長 ご主人には めちゃめちゃ優しいそうですね ご主人も優しい方だそうで
いいなぁ~ どんな方なんですか 今度紹介してくださいね」
「えぇ いつかね……」
去年事務所に入った女の子は ジュンと私の関係をまだ知らない
事務所でも知っているのは マネージャーを含めて ほんの一握りのスタッフだけだった
貴女が ウチの事務所で本当に必要な人間だとわかったら教えてあげるわ
ほらそこよ そこでみんなに笑みを振りまいている彼が 私の夫
ここの誰も知らないけれどね……
結婚してもうすぐ一年 よくも周りを欺き続けたと自分でも驚いている
左手の薬指にすっかり馴染んだ結婚指輪を ときどき触って確認しなければ
自分が結婚したことさえ忘れそうだった
私たちの結婚は この業界ではトップシークレット
彼は ウチの事務所に所属する俳優で アジアのスターで 日本ではとんでもなくマダム達に愛され
様がつくほど慕われている人
彼をモデルにしたアマチュア小説が 星の数ほどあるのだそうだ
私も読ませてもらったけれど ジュンがいろんな役になっていて楽しかった
彼の仕事も こんなにいろんな役をこなせたら良いのに……そう考えて また ため息が出た
実際の彼を知ったら マダム達はどう思うかしら きっと信じないわね だって「微笑みの貴公子」だもの
そんな彼と結婚しているなんて 口が裂けても言えない事実
でも 夫なのよねぇ……あの人が……
インタビューがすみ 雑誌のページを飾る写真撮影に入る合間の休憩に入った
彼の顔は まだ本来の顔ではないようだ
ふぅ 仕方ないわね
「ジュン ちょっといい?」
「はい 社長どうしたんですか 何か……」
何か不都合でも? といかにも温厚な様子で ジュンは私に近づいてきた
他の撮影スタッフに声が聞こえないほど離れ 私の耳に触れるほどの距離で ナイショの会話が交わされる
「今朝のこと まだ納得してないの」
「納得も何も 君が強引だから」
「強引って 仕方ないじゃない 時間がないんですもの」
「君の手料理が食べたいって言うのが そんなに大変なことかな」
「そうよ 急に今夜食べたいって言うんですもの 私に時間がないのわかってるでしょう」
「嫌だ そんなの理由にならない」
「ジュン わがまま言わないで」
「これが僕だ」
はぁ 言い出したら絶対に引かない人
そうこれが本当のジュンの姿……みんな知らないけどね……
「わかったわ 遅くなってもいいのなら作るわ それでいい?」
「君ならそう言ってくれると思ってた いいよ 待つよ」
今日最高の笑みを見せて 撮影に戻っていく
顔の輝きが一瞬にして変わったことに ディレクターが驚いて 私が彼に魔法でもかけたのかと
笑えない冗談を言ったほどだ
魔法なんてないわ 私の手料理を食べさせると言っただけ……
そう言いたいのを飲み込んで こう伝えた
「彼はプロですから 仕事は完璧にこなします 私は彼が動きやすいように その手助けをするだけです」
そう言うと 私は 今日何度目かのため息をついた
・・・・つづく・・・・
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